奇奈家家内放送 第四十四回目です。
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今回朗読の詩はこちらです。
『天を支える巨(おお)きな人よ』
奇奈文人
彼女は、晴れの日も雨の日も笑っていた。
ある雨の日、僕は尋ねた。
「君は、雨の日でも楽しそうだね」
彼女は突然の質問に首を傾げつつも、
「う〜ん、・・・楽しいとかとはちょっと違うかも」
そう答えた。
不思議そうな僕の顔を見てか、言葉を付け足す。
窓の外、しとしとと降りしきる雨を、空を覆う灰色の雲を見上げながら。
「・・・この雨はね、天を支える巨きな人が流す涙なの。
独りでつらいよ、苦しいよ〜って。だからね・・・、」
彼女は僕に振り向き、いつものように微笑んだ。
「私が励ましてあげてるの。大丈夫、あなたを支える人がここにいるよって。」
その彼女も、今はもういない・・・。
最後の別れを済ませた帰り道、
笑うことも、泣くことさえできない僕は、独り歩いていた。
急に降りだした夕立に傘も差さず。
ただただ歩く僕の頬を、彼の涙が流れていく・・・。
ふと、その空を見上げ、彼に声をかける。
「あなたを応援していたあの子は、あなたの元にいますか?」
いつも彼のことを気にかけていた彼女は、きっと彼の元にいるんだろう。
だとすると、
この雨は誰のための・・・?
・・・そうか、そうだったんだ。
「ありがとう、僕は大丈夫。巨きなあなたに、いつも笑っていて欲しいから。
今度は僕があなたを。」
ちょっと硬かったけど、僕は自然と微笑むことができた。
夕立はいつの間にか止んでいて、
空には、・・・大きな虹がかかっていた。
